□京 様より頂き物

朝7時半。雨。
朝は若干濡れながらも学校までどうにか乗り切った。つーか、午後から止む予報だったから傘なんて持ってねぇ。

んで今。放課後。案の定雨はまだ降ってる。
玄関先まで出て来たものの、とても帰れそうなレベルの雨じゃねぇ。傘をさして次々と雨の中に消えていく生徒を見送りながら、俺は「昼過ぎからは晴れるでしょう」と言った気象予報士の顔を思い浮かべていた。
ふと、視界に見覚えのある人物が映った気がして、目をやった。

「……」
誰かと思えば、長年腐れ縁で結ばれてしまっている女だった。
『…………何よ。』
「俺、傘ねーんだけど。」
『ふーん。』
「駅まで入れてくれる奴いないかなー。」
『じゃあね。』
「スルーかよ。……じゃーね。」
『ちょっ、どーすんのよ。』
「傘パクろっかな。…やっぱいいや。濡れて帰る。」
『あーもー、入れてあげるわよ!……アンタに風邪でもひかれたら困るしね。』
「ん?」
『な、何でもないわよ。…あんまりくっつかないでよ?』
「はーい。」

そーゆー訳で、どしゃ降りの中を2人で歩く。雨でアスファルトから浮いた油やホコリのニオイがウザい。
ただそれ以上に、俺の隣を歩く奴の髪がいい香りを漂わせる。ちくしょー、コイツ、コレでなかなかカワイイから困る。


『…ちょっと、肩濡れてるじゃない。』」
「こんなもんだろ。傘ひとつなんだから。」
『……あの………っ……も、もっとこっち寄れば?風邪引くよ?』
「え?…あんま寄るなっつってたじゃん。」
『っ………いーのよ!』
「?…わかったよ。サンキュー。」
『……わ、私もちょっとそっち寄るからね。………寒いし。』
「寒いかぁ?つーか、何でさっきから俺が傘持ってる手をさらに握ってんの?」
『こ、この方が安定するでしょ!?』
「……そっか。」
『……そーよ。』


そんなんで、結局駅を通り越して2時間以上もかけて家まで歩いた。冷たい雨に少しばかり感謝して……。

Fin

ヒトコト
リア友である京さんに頂きました。
なんか学校で携帯つかってポチポチと打ってましたよw

モドル