「虹が消えた日」

 ふと気がつくと、私の目の前に一本の赤い糸があった。
 天井か何処からか良く判らないが、兎に角上から垂れ下がっているようだ。
 ずっとこのままにしておくのもどうにも気になる。
 好奇心に誘われて、くいくいとそれを引っ張ってみた。
 すると、糸はするすると、そして何処までも何処までも出るわ出るわ。
 どれほどに引いても、一向に終わる気配がない。
 何やら私は、空恐ろしくなってしまい、ソウダと思い、糸の端っこを道を行く車の一部へ括り付けたのだ。
 ドンドンと走る車に引かれ、いつまでもいつまでも走る糸。
 やがてするりと終わり、我が家からは何事も無かったかのように糸は消え、静かになった。
 音が無いのも寂しいので、テレビをつけることにした。
『タ、タイヘンデス、皆サン、外ヲゴ覧下サイ! ニ、虹ガ……虹ノ赤色ガ! 何処カヘ消エテシマッタノデス……』
 ふうむ、不思議なこともあるものだな。
 そう思った私が、ふと気がつくと、一本の糸が目の前に……。

アトガキ  webclap!
然し虹が一色一色消えるって中々良い感じなんじゃないかと、偶に思う。

モドル