「水飲み鳥」


 莫迦ばかな男がこう言った。
「君の印象イメヱジ一致ピツタリダ」
 そう、渡されたのは黒い帽子ハツトの水飲み鳥。
 硝子細工の脆い鳥。
 喜ぶ私を見る為に、洋卓テヱブルに座り微笑っている。
 手渡す前から居たのダカラ、そういう訳では無いのだケド。
 本当、莫迦な男だと、
 有リ難ウの仮面を付け、もう遅いわと嘘を吐く。
 零時の時計は魔法の終わり。
 デヱトは仕舞いよ帰路へ付きましょう。
 莫迦な男は「送ロウ」と、
 赤い車を用意する。
 南瓜カボチャの馬車のがイイワと言うと、
 何カ言ったカイ?と返ります。
 イイエ何モ、ナンデモ無イワ。
 リア-ヴューミラーを通して映る、ヨクワカラナイといった表情。
 視線を滑らせ窓の外。
 夜の街の明るい暗さ。
 不意に視える自分の顔に、昔の言葉を思い出す。

「溜息がドレスを着ているようね」

 そうかしら、そうかも知れない。
 例えドレスを着ていたって、ボロ布の溜息に負けるような貴方だもの。
 それぐらいの皮肉は言いたくなるわよね。
 王子様と舞踏会に出たところで、楽しくないもの私なら。
 だからそう、溜息と言われても、否定はしないし出来ないな。
 ネオンに記憶が溶けていく。
 ブレーキ音に私のお城。
 ドウモ有リ難ウサヨウナラ。
 後ろも見ずに扉へ向かう。
 がちゃりと鍵を聴きながら、きっと呆けているのでしょう。
 イメヱジなんかで私を見るから、だから貴方は駄目なのよ?
 フウと一息吐きまして、莫迦な男のプレゼント、硝子の鳥を硝子の卓へ。
 カタリコトリと平和鳥。
 携帯電話のベルが、何度も鳴るのを横目に入れてベッドイン。
 冷たい毛布と枕を抱いて、水飲み鳥を見る度思う。
 男はみんな莫迦なのだ。
 カタリコトリ、ベルを止め、マタアイマショウと打って眠る。
 
 そんな男に騙される、私もきっと莫迦の一人。
 似而非の永久美人鳥。

アトガキ  webclap!
ツンツンツンツンツンツンツンデレぐらいな感じが最近好きです。
そういうわけで久しぶりの作品です。

モドル